コールセンターシステムの移行を安全に進めるための実践ノウハウ
これまで数多くの案件をしてきた上で学んだ、「コールセンターシステムのカスタマイズ・導入」で注意するべき点についてお伝えします。

はじめに
こんにちは。システムサービス本部IPC1 sugiyamatです。
私たちは、これまで「コールセンターシステムのカスタマイズ・導入」案件をしてきました。
要件定義からリリースまで、導入ユーザは20社近くの経験があります。
今回は開発工程のうちの「移行・リリース」において注意すべきポイントを紹介します。
移行工程における大前提
コールセンターシステムの移行に関して、当然と言えば当然ですが以下の2つが非常に重要な要素になります。
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- 顧客業務に影響を与えない。(移行作業が時間内に終了せず、営業時間に顧客対応が出来ない等)
- 顧客経営に影響を与えない。(システムが停止していた時間の機会損失による、売上利益等への影響)
開発したシステムが顧客の業務で実際に使用されるタイミングとなりますので、ちょっとしたミス・考慮漏れも顧客業務・経営に大きな影響を与えてしまいます。
実際に、移行工程で想定しうる問題としては、以下の2つなどが挙げられます。
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- 業務として移行作業が可能な時間帯が限られており想定している作業が実施しきれない
- あるタイミングでこちらのシステムを切り替えたら連携システムに影響を与えてしまい翌日の業務開始が遅れてしまう。
システム移行で意識するポイント
上記のような問題を起こさない為に、システム移行時に意識するべきポイントがあります。
1点目に意識するべき点は、顧客業務に関連する問題を発生させない為の、「顧客業務を理解した上での、移行計画の策定」です。
例えばコールセンター業務ですと、月の中でも1日に扱うデータ量(通話の量)が変動します。
なるべく呼量が少ない日に移行を実施することで、作業時間を十分に確保し、切り戻し発生時の業務影響リスクを最小限に抑えます。
また、顧客業務の内容・サイクルを理解し、作業の優先度・作業順をあらかじめ顧客とすり合わせることで自他問わずトラブル発生時のリカバリーを確実に行うことが可能です。
2点目に意識するポイントとしては、連携システムに関連する問題を発生させない為の、「ユーザーや連携システム含めたリスクの共有」になります。
移行対象システムの作業が連携システムに影響を及ぼさないか、
切り戻しとなった場合の各作業における影響範囲をあらかじめすり合わせておくことで
自チームだけでは把握しきれないリスクをあらかじめ理解・回避することが可能です。
実例
以下、過去案件のリリース時に発生した、顧客側の制約に対する解決事例を紹介します。
1. 200台規模のクライアント端末リリース事例
ある案件では、コールセンターシステム移行時に、オペレーターが使用中の200台のクライアント端末に対し、ソフトウェアのリリース作業を行う必要がありました。
リリース作業を計画する段階で、顧客のセキュリティルールなどにより、作業内容の許可申請や作業時間の制約がないかのヒアリングを実施。
その結果、予定していた手順のままでは、リリース作業が顧客側ルールによる制限時間内に完了しないことが判明しました。
そこで、この課題を解決するために、一括移行ツールの開発を提案。
このツールを用いることで、約200台の端末へのリリースが、当初予定していた10人で5時間から3人で2時間に、工数と時間削減が実現できました。
2. 一部機能の先行リリースにより移行当日の作業負荷を軽減し、制限時間内に移行完了した事例
ある案件では、移行作業量を洗い出した時点で、移行時の作業時間制限をオーバーすることが明らかになりました。
そこで、顧客および連携システム担当者と早期に調整を開始し、連携システムの運用に影響を与えない機能のリストアップを行いました。
リストアップした機能を先行リリースし、移行当日は残りの機能のみをリリースするという、2段階移行を提案しました。
結果として、移行当日の作業時間に余裕を持たせたリリースとなり、顧客業務への影響ゼロでの移行を実現しました。
まとめ
移行工程における問題と、実際に実施している対策を紹介させていただきました。
移行工程におけるポイントは「移行対象システムだけでなく、連携システム・ユーザー全体を見ること」だと考えています。
他ベンダー・顧客にも協力を仰ぎ、各プロジェクトにおいて最低限のリスクに収めるにはどういった計画が最適かを意識し、プロジェクトを成功に収めるヒントになれば幸いです。








