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2023年9月20日

【2023年09月】OpenAI API と Azure OpenAI Service の最新情報と比較解説

【2023年09月】OpenAI API と Azure OpenAI Service の最新情報と比較解説

2023年8月28日に ChatGPT Enterprise が発表され、さらに企業への本格導入へ向けての気運が高まりつつあります。
しかし、 ChatGPT Enterprise はあくまで皆さんが普段使っている Web アプリケーション (SaaS) についてのアナウンスのようなので、改めて OpenAI 社が提供する API を利用するときと、 Azure OpenAI Service を利用したときの違いを再確認しておきたいと思います。

目次

 

はじめに

こんにちは。
クラウドソリューショングループのwatanabe.tです。

OpenAI API と Azure OpenAI Service は、OpenAI の人工知能技術を利用できるクラウドサービスです。どちらも多様なタスクに対応した大規模言語モデル(=LLM)を提供していますが、それぞれに特徴や違いがあります。

そこで、この記事では、2023年後半時点での両サービスの比較解説を行っていきたいと思います。
※ いわゆる「ChatGPT」と広く言われているものは OpenAI 社から提供されている Web アプリケーションで、GPT-3.5 or GPT-4 を利用するのことを指すため、本記事では解説は行いません。

概要説明

OpenAI API とは

OpenAI API は、OpenAI が開発した GPT-3.5 や GPT-4 などの自然言語処理モデルを利用できるクラウドサービスです。
OpenAI API は、テキスト生成や要約、分類、質問応答などのタスクに対応しており、簡単な HTTP リクエストでモデルにアクセスできます。

OpenAI API へサインアップ後、API キーを取得したのちに、HTTP リクエストでアクセスできます。

Azure OpenAI Service とは

Azure OpenAI Service は、Microsoft Azure が提供する OpenAI の人工知能技術を利用できるクラウドサービスです。
Azure OpenAI Service も OpenAI API と同様に、 GPT-3.5 や GPT-4 などの自然言語処理モデルを提供しており、テキスト生成や要約、分類、質問応答などのタスクに対応しています。
こちらも HTTP リクエストでモデルにアクセスできますが、Azure ポータルや SDK を通じてより柔軟にサービスを管理できるのが特徴です。

Azure OpenAI Service の利用には、Microsoft Azure のアカウントが必要であり、Azure OpenAI Service で GPT モデルを利用するにはプレビュー版の事前申し込みが必要です。

OpenAI API と Azure OpenAI Service の比較

それでは早速それぞれの比較をしていきましょう。
※ 以下は2023年09月時点の情報のため、今後変更される可能性があります。(というか変更されるって情報が既にあるものもありますが。。。)

比較表

項目 OpenAI API Azure OpenAI Service
利用開始 OpenAI のウェブサイトからアカウント作成 Microsoft Azure のアカウント作成後、アクセス申請が必要→ GPT-3.5 Turbo なら1週間程度が目途
利用料金(GPT-3.5 Trubo/4K context) Input: $0.0015 / 1,000トークンOutput: $0.002 / 1,000トークン Input: $0.0015 / 1,000トークンOutput: $0.002 / 1,000トークン
利用料金(GPT-4/8K context) Input: $0.03 / 1,000トークンOutput: $0.06 / 1,000トークン Input: $0.03 / 1,000トークンOutput: $0.06 / 1,000トークン
リージョン 米国のみ 日本(東日本リージョン)を始めとする7リージョンが選択可
リリース頻度や新機能 先行して利用可能 OpenAI 社に追随するが遅め
セキュリティ APIキーのみ APIキー or Microsoft Entra ID認証(旧Azure AD)VPC内からアクセス可能にする制限が可能
やり取りの学習 デフォルトでオプトアウト(明示的にオプトインすれば利用される) モデルの再トレーニングに顧客データは使用されない
Service Level Agreement (SLA) なし 99.9% の可用性
サービスの管理 OpenAI のウェブサイトで管理 Azure ポータルや SDK で管理

 

ピックアップ解説

ここでは比較表の中から特に気になるポイントをピックアップして解説していきましょう。

リージョン

OpenAI API は米国のみの提供となっているのに対し、Azure OpenAI Service は日本(東日本リージョン)を始めとする7リージョンが選択可能です。
企業によってはデータを扱えるロケーションを日本国内に限定したいという要望があるため、 Azure OpenAI Service の方がこの点は優位です。

Service Level Agreement

OpenAI API は SLA がないため、サービスの可用性が保証されていません。(実際、体感的にレスポンスが遅くなることなどがありました)
そのため、自社のプロダクトに組み込む場合などは、 Azure OpenAI Service の方が安心して利用できると思います。
また、Azure OpenAI Service は Azure のサポートも受けることができるため、この点も企業で利用する上では大きなメリットです。

リリース頻度や新機能

Function calling など新しい機能は OpenAI API で先行して利用できることが多いです。(Functions calling だと約1ヶ月くらい早かった)
Azure OpenAI Service も新機能は追随していますが、別途申請が必要になることもあります。

おわりに

この記事では、2023年後半時点の OpenAI API と Azure OpenAI Service の比較解説を行いました。
どちらも OpenAI の人工知能技術を利用できるクラウドサービスですが、利用開始までやSLAセキュリティの考え方などに違いがあります。

どちらにもメリット・デメリットがありますので、これらを踏まえて自分のニーズに合ったサービスを選択することが大切です。


watanabe.tのブログ

クラウドソリューショングループ所属

昔はモバイルアプリ開発を、今はGCP, AWS, Firebaseなどのクラウド周りの提案/開発を行っているエンジニアです。

AWS認定ソリューションアーキテクト取得しました!