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BLOG 開発者ブログ

2025年2月17日

プロジェクト崩壊を防ぐ”業務理解”の力(要件整理の話)


プロジェクトを進める中で「業務理解」が不足していると、想定外のトラブルが頻発します。
例えば、業務に合わないシステムが出来上がり現場から「使えない」と言われることも…
どうすれば業務理解を深め、プロジェクトを成功させることができるのでしょうか。

プロジェクトの進め方について学び直した内容と自身の経験、
周囲から得た知見を記事にまとめてみました。

目次

はじめに

こんにちは。クラウドソリューション第二グループの namiki.m です。

私は業務の中で、要件整理や要件定義に携わる機会があります。
自分自身、要件の抜け漏れには常に注意を払っていますが、
それだけでなく、上司・先輩に指摘やサポートをいただくことで、大きな問題に直面することなく業務を進めてこられました。
しかし一方で、要件整理が不十分だったことでプロジェクトが苦労したという話を耳にすることは少なくありません。

例えば、要件漏れが原因でプロジェクトが遅延したり、業務フローの認識不足から手戻りや想定外の工数・費用が発生する事態などです。
最近、改めてプロジェクトの進め方について学び直す機会があったので、
自分の経験も踏まえながら「プロジェクトを成功に導く要件整理」について記事にまとめてみました。

要件整理とは

要件整理とは要件定義の前のフェーズで、
お客様の希望やニーズを把握し、それらを具体的かつ実現可能な形に整理するプロセスのことです。
※要件定義のフェーズ内で行うこともあります。

単にお客様の要望をリスト化していくのではなく、
業務理解を深めた上で課題や要求の目的を明確にし、システムでどのようにサポートできるかを検討することが求められます。
また、予算やスケジュールの制約によってすべての希望をそのまま反映できない場合も多々あるため、
要求を優先順位づけして実現可能な要件に落とし込むことで、認識のズレを最小限にしプロジェクトの円滑な進行を支える重要な役割を果たします。

なぜ業務理解が重要なのか

要件整理を成功させるためには、お客様の業務を正しく理解することが不可欠です。
業務理解は、お客様のニーズや課題を具体的な要件に落とし込む際の土台となるものであり、これが欠けると要件そのものが不安定になりかねません。
システム開発の目的は、現場の課題を解決し業務を支援することです。
そのため、現場の業務フローや運用の詳細を深く理解しなければ、真に価値のある解決策を提案することはできません。
業務を知らずに要件は整理できない
この意識を持つことが要件整理を成功させ、プロジェクト全体をスムーズに進めるための第一歩となります。

業務理解が欠けていると起こり得る問題

業務理解が欠けていると、プロジェクト全体にどのような影響があるのでしょうか。
2つ程例を挙げてみました。

業務理解に必要なこと

これまで業務理解の重要性や、理解不足が招く問題についてお話しました。
では、どうすれば業務理解を深められるのでしょうか。
ここでは、業務理解を進めるためのポイントをご紹介します。

1. 業務理解に必要な資料を集める

業務を正しく理解するためには、まず必要な資料を集めることが重要です。
例えば、以下のようなものが役立ちます。

  • 業務フロー図
    • 現行の業務プロセスを視覚化したもの
  • 現行システムのマニュアル
    • 既存のシステムがどのように使われているかを知るための資料
  • 業績データやKPI
    • 業務の成果や課題を数値化したデータ
  • 規定書や手順書
    • 業務ルールや具体的な作業手順を把握するための文書

これらの資料は、お客様から提供を受けるだけでなく、
現場観察やヒアリングを通じて補足情報を得たり、場合によってはこちらで作成することも必要です。

2. お客様へのヒアリング

ヒアリングは業務理解を深めるうえで欠かせない工程です。
以下のコツを押さえながら進めることで、より具体的な情報を収集できます。

  • 具体例を掘り下げる
    • 「この業務で一番時間がかかる部分はどこですか?」や「最近困ったことは何ですか?」など、具体的なエピソードを引き出す質問をする
  • 現場のキーマンに話を聞く
    • 業務を最もよく知る現場のスタッフや管理職に直接話を聞くことで、机上では得られないリアルな情報を収集する
  • 業務の背景を理解する
    • 「なぜこのプロセスが必要なのか?」という背景にある目的や価値を探る質問をすることで、業務の本質を理解する

これらの取り組みを通じて、お客様の業務の全体像や課題が明確になり要件整理に向けた基盤を構築できます。

まとめ

プロジェクトを成功に導くには、
まず「お客様の業務を正しく理解」し、そこから要件を整理していくことが欠かせません。
業務理解を深めることで、お客様の真のニーズを把握し、課題を解決するための土台を築くことができます。
その整理された要件を基に具体的な要件定義へと進むことで、プロジェクトはよりスムーズに進行し、手戻りやトラブルのリスクを最小限に抑えることができます。
この記事が、これから要件整理や要件定義を行うどなたかの参考になれば幸いです。

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