次世代のCPE!uCPEのご紹介
ネットワーク業界に革命が起こるかもしれない!?
本記事では、次世代のCPEとなるであろう、uCPEをご紹介いたします。
この記事は アイソルート Advent Calendar 10日目の記事です。
1.はじめに
こんにちは。
プラットフォームソリューショングループのfujishima.yです。
普段はネットワーク機器などの品質評価や検証を行っております。
そうした中で最近、世間の注目度が高まっているuCPEという物の検証を行いました。
そこで今回は、uCPEの特長と設定方法について、少しだけ掘り下げて解説いたします。
本記事を通じてuCPEというキーワードと、私達の業務内容に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
*目次*
2.コンセプト解説
そもそもuCPEって何?
uCPEのuは”universal”の頭文字で、CPEは”Customer Premises Equipment”(顧客構内設備)の略語です。
従来のCPEはハードウェアとソフトウェアが一体型の製品(ルータなど)で、
一般的にCisco、Juniper、YAMAHAなどネットワーク機器ベンダによって提供されています。
一方のuCPEは、仮想プラットフォームを内蔵したホワイトボックス装置に、仮想マシンとしてネットワーク製品を立ち上げます。
仮想化により、装置の中にあるネットワーク製品は、作成/削除が自由に出来るようになりました。
コンセプト/何がしたかったのか
検証した内容の主なコンセプトは以下の2点です。
1.uCPEを用いて”SD-WAN製品のデプロイと切り替え”ができること
2.それら操作をGUI画面から行うこと
SD-WANは現在ネットワーク業界で最も注目されているキーワードのひとつです。
細かい説明は割愛しますが、重要なワードなので、採用したSD-WAN製品の特長を簡単に紹介しておきます。
採用した仮想プラットフォームはADVA社の”Ensemble”、SD-WAN製品は”Versa”と”Silverpeak”です。
Versaの特長
SD-WANベンダであるVersa Networks社が提供しており、非常に多くの機能が利用できます。
加えてセキュリティ関連の機能は特に充実しており、詳細な設定が可能です。
Silverpeakの特長
Silver Peak社は元々WAN高速化製品を扱っているベンダでした。
そのため回線の効率化と、通信を高速化するための機能が特に充実しています。
全体構成図の解説
・uCPEの仮想プラットフォームにADVAをインストール
・任意のクラウド(B、C)上にADVA、Versa、Silverpeakの管理機能を設置
・任意のクラウド(A)上にSilverpeakとVersaのEdgeと、サーバなどのVM(インスタンス)を設置
・Officeの回線はデュアル構成
uCPE切り替えパターン図
・パターンAでは、uCPEにSilverPeakとVMをデプロイ
・パターンBでは、uCPEにVersaとVMをデプロイ
・各拠点をIPsecVPNでフルメッシュに接続
このようにuCPEの構成をGUIの操作だけで切り替えられます!
3.設定解説編
uCPEに利用したハードウェア
ハードウェアは以下の2種類を利用しています。
・Caswell CAD-0263
RJ45ポート6個+10GbEのSFP+ポートを搭載した小型のホワイトボックス機器
・DELL VEP4600
Virtual Edge Platform、uCPEとSD-WAN向けに用意された製品。外見は普通の1Uサーバ
ADVA設定
ADVA Ensemble OrchestratorにWEBブラウザからログインして、テンプレートの設定を行います。
ここでネットワークトポロジの構成を定義します。
引き続き、仮想マシンとして立ち上げるイメージファイルの設定を行います。
ADVAはOpenstackベースの製品なので、仮想マシンはqcow2ファイルでデプロイします。
引き続き、uCPE自体の設定を行います。
uCPE自体の設定は”Adva Ensemble Director”で行います。
“Adva Ensemble Director”にログインして、設定を行います。
ADVAの設定が完了しました。
この状態だとVersaとSilverpeakはデプロイされ起動するものの、VPN接続などは行われません。
そのため、VersaとSilverpeakそれぞれの設定を行う必要があります。
Versa設定
VersaのOrchestratorにWEBブラウザにてログインし、テンプレートを設定します。
さらにVersaデバイスの設定を行います。
SilverPeak設定
SilverpeakのOrchestratorにWEBブラウザにてログインし、”Preconfigration”の画面を開きます。
以上の設定を経て、SD-WAN製品を切り替えて、かつ正常に動作するに至るまで、自動で構築されるようになります!
このように、ほぼ全ての設定をGUI画面上で、簡単な手順で実現できてしまいます。
4.まとめ
結局、利用者にとってuCPEのメリットってなによ?
現状でネットワークの構築を行う際に、ネットワーク機器の見積りは難しいと感じています。
特にリソース面や機器の接続数は、拡張性や余裕を考慮して選定するのが定石ではないでしょうか。
そうすると、かなり高めな製品を購入せざるを得ないんですよね。
uCPEになれば、使いたい製品のライセンスを購入、またはリースしておくことで、
あとは用途に応じて自由に配分、切り替えができるようになります!
結果、設置費/運用費は共に安くなる……はず!!
終わりに
私は2014年からSD-WANの検証業務に携わってきました。
2019年の時点でSD-WANは業界で最も注目されるトレンドのひとつとなっており、
2020年は普及がさらに進むと予測されています。
そういった情勢の中で、わたしは現在”uCPE”製品の検証を進めています。
そして数年後……
次世代のCPEはネットワーク業界に、革命を起こし始めているのではないでしょうか。
明日はyamasaki.sさんの『リクルートが提供するAI「A3RT」を使ってみた』です。
お楽しみに!
# プラットフォームソリューショングループ(PSG)
クラウド、ネットワーク・サーバ など、ITインフラの技術やサービスに精通した部門。
また、ITサービスマネジメント分野のコンサルや運用設計、運用管理なども得意としています。
弊社は、システム開発だけではなく、インフラ領域のエキスパートも在籍しており、
例えば、クラウドシステム導入の際は、サーバ・ネットワークなどの基盤を含めた総合的なサービス提供が可能です。