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BLOG 開発者ブログ

2019年12月10日

次世代のCPE!uCPEのご紹介

ネットワーク業界に革命が起こるかもしれない!?
本記事では、次世代のCPEとなるであろう、uCPEをご紹介いたします。

この記事は アイソルート Advent Calendar 10日目の記事です。

 

1.はじめに

こんにちは。
プラットフォームソリューショングループのfujishima.yです。

普段はネットワーク機器などの品質評価や検証を行っております。
そうした中で最近、世間の注目度が高まっているuCPEという物の検証を行いました。

そこで今回は、uCPEの特長と設定方法について、少しだけ掘り下げて解説いたします。
本記事を通じてuCPEというキーワードと、私達の業務内容に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。


*目次*


2.コンセプト解説

そもそもuCPEって何?

uCPEのuは”universal”の頭文字で、CPEは”Customer Premises Equipment”(顧客構内設備)の略語です。

従来のCPEはハードウェアとソフトウェアが一体型の製品(ルータなど)で、
一般的にCisco、Juniper、YAMAHAなどネットワーク機器ベンダによって提供されています。

一方のuCPEは、仮想プラットフォームを内蔵したホワイトボックス装置に、仮想マシンとしてネットワーク製品を立ち上げます。
仮想化により、装置の中にあるネットワーク製品は、作成/削除が自由に出来るようになりました。

 

コンセプト/何がしたかったのか

検証した内容の主なコンセプトは以下の2点です。
1.uCPEを用いて”SD-WAN製品のデプロイと切り替え”ができること
2.それら操作をGUI画面から行うこと

SD-WANは現在ネットワーク業界で最も注目されているキーワードのひとつです。
細かい説明は割愛しますが、重要なワードなので、採用したSD-WAN製品の特長を簡単に紹介しておきます。
採用した仮想プラットフォームはADVA社の”Ensemble”、SD-WAN製品は”Versa”と”Silverpeak”です。

 

Versaの特長

SD-WANベンダであるVersa Networks社が提供しており、非常に多くの機能が利用できます。
加えてセキュリティ関連の機能は特に充実しており、詳細な設定が可能です。

 

Silverpeakの特長

Silver Peak社は元々WAN高速化製品を扱っているベンダでした。
そのため回線の効率化と、通信を高速化するための機能が特に充実しています。

 

全体構成図の解説

検証に用いたプラットフォーム概要図(画像をクリックすると拡大表示)

・uCPEの仮想プラットフォームにADVAをインストール
・任意のクラウド(B、C)上にADVA、Versa、Silverpeakの管理機能を設置
・任意のクラウド(A)上にSilverpeakとVersaのEdgeと、サーバなどのVM(インスタンス)を設置
・Officeの回線はデュアル構成

 

uCPE切り替えパターン図

uCPE切り替えパターン図(画像をクリックすると拡大表示)

・パターンAでは、uCPEにSilverPeakとVMをデプロイ
・パターンBでは、uCPEにVersaとVMをデプロイ
・各拠点をIPsecVPNでフルメッシュに接続

このようにuCPEの構成をGUIの操作だけで切り替えられます!

3.設定解説編

uCPEに利用したハードウェア

ハードウェアは以下の2種類を利用しています。
・Caswell CAD-0263
RJ45ポート6個+10GbEのSFP+ポートを搭載した小型のホワイトボックス機器

Caswell CAD-0263

・DELL VEP4600
Virtual Edge Platform、uCPEとSD-WAN向けに用意された製品。外見は普通の1Uサーバ

DELL VEP4600

ADVA設定

ADVA Ensemble OrchestratorにWEBブラウザからログインして、テンプレートの設定を行います。
ここでネットワークトポロジの構成を定義します。


uCPEにデプロイする”Versaテンプレート”の設定


uCPEにデプロイする”Silverpeakテンプレート”の設定

引き続き、仮想マシンとして立ち上げるイメージファイルの設定を行います。
ADVAはOpenstackベースの製品なので、仮想マシンはqcow2ファイルでデプロイします。


uCPEにデプロイする”Versaイメージファイル”の設定


uCPEにデプロイする”Silverpeakイメージファイル”の設定

引き続き、uCPE自体の設定を行います。
uCPE自体の設定は”Adva Ensemble Director”で行います。
“Adva Ensemble Director”にログインして、設定を行います。


uCPEの設定

ADVAの設定が完了しました。
この状態だとVersaとSilverpeakはデプロイされ起動するものの、VPN接続などは行われません。
そのため、VersaとSilverpeakそれぞれの設定を行う必要があります。

Versa設定

VersaのOrchestratorにWEBブラウザにてログインし、テンプレートを設定します。

Versaテンプレートの設定

さらにVersaデバイスの設定を行います。

Versaデバイスの設定

SilverPeak設定

SilverpeakのOrchestratorにWEBブラウザにてログインし、”Preconfigration”の画面を開きます。

Silverpeak Orchestratorメニュー画面

Silverpeak Preconfigurationの設定

以上の設定を経て、SD-WAN製品を切り替えて、かつ正常に動作するに至るまで、自動で構築されるようになります!
このように、ほぼ全ての設定をGUI画面上で、簡単な手順で実現できてしまいます。

4.まとめ

結局、利用者にとってuCPEのメリットってなによ?

現状でネットワークの構築を行う際に、ネットワーク機器の見積りは難しいと感じています。
特にリソース面や機器の接続数は、拡張性や余裕を考慮して選定するのが定石ではないでしょうか。
そうすると、かなり高めな製品を購入せざるを得ないんですよね。

uCPEになれば、使いたい製品のライセンスを購入、またはリースしておくことで、
あとは用途に応じて自由に配分、切り替えができるようになります!

結果、設置費/運用費は共に安くなる……はず!!

終わりに

私は2014年からSD-WANの検証業務に携わってきました。
2019年の時点でSD-WANは業界で最も注目されるトレンドのひとつとなっており、
2020年は普及がさらに進むと予測されています。
そういった情勢の中で、わたしは現在”uCPE”製品の検証を進めています。

そして数年後……
次世代のCPEはネットワーク業界に、革命を起こし始めているのではないでしょうか。

 

 

明日はyamasaki.sさんの『リクルートが提供するAI「A3RT」を使ってみた』です。

お楽しみに!

 


# プラットフォームソリューショングループ(PSG)

クラウド、ネットワーク・サーバ など、ITインフラの技術やサービスに精通した部門。
また、ITサービスマネジメント分野のコンサルや運用設計、運用管理なども得意としています。
弊社は、システム開発だけではなく、インフラ領域のエキスパートも在籍しており、
例えば、クラウドシステム導入の際は、サーバ・ネットワークなどの基盤を含めた総合的なサービス提供が可能です。

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